SATOYAMA BASKET - MISIA × 生物多様性 -


繋がる - 水﨑進介

水﨑進介
対馬野生生物保護センター(環境省対馬自然保護官事務所)
自然保護官(レンジャー)

大学に入ってからワンダーフォーゲル部に入り、山登りを始め、のめりこみました。また、子どものころ、神奈川の自宅近くの雑木林が宅地化されていくのがとても悲しかったのをよく覚えています。そうした経験から、人里離れた山々や、身近な自然を後世に残したいという思いで、環境省に入省し、本省野生生物課、釧路自然環境事務所を経て、対馬自然保護官事務所にやってきました。

対馬野生生物保護センターでは、野外で傷ついたりしたツシマヤマネコの保護、生息環境の悪化や交通事故、イエネコによる感染症などのツシマヤマネコの減少要因の対策、ツシマヤマネコの保護活動の普及啓発、全国の動物園と連携した飼育下繁殖事業などを行っています。センターには環境省、長崎県、対馬市から雇用されている10名の職員がいますが、私はセンターの業務を統括する仕事をしています。ツシマヤマネコの保護については、地域の方はもちろんのこと、動物園、専門家、企業など、非常に多くの関係者がかかわっています。それぞれの立場や考えは様々ですが、それらをうまくつなげ、対馬やツシマヤマネコにとってよい方向に進めていきたいと考えています。

cmenu-29-p01.jpg
佐護ヤマネコ稲作研究会による田植え[提供 : 環境省対馬野生生物保護センター]

一例を挙げますと、対馬の佐護という地域では減農薬や生き物調査などを行いながら、ツシマヤマネコにやさしいお米を作ろうという活動が始まっています。除草剤をまかなかった田んぼでは雑草が繁茂し、農家の方と草抜きをした時もありました。これまでと違う農法で行うことで、収穫量が減ったり、手間がかかったりするにもかかわらず、地域にとってもヤマネコにとってもプラスになるお米作りを模索してくれる佐護ヤマネコ稲作研究会の皆様には頭が下がる思いです。そうして作られたお米は、高い値段で販売していく必要がありますが、住友大阪セメント株式会社という会社に関連する有志の方が、研究会のお米の約7割を購入してくれました。住友大阪セメント株式会社は対馬の舟志という地域でも社有地の提供など、ヤマネコにやさしい森づくりに協力していただいています。住友大阪セメント株式会社の方からは「都会の人は何か良いことをしたいと常に思っている。」という思いを聞かせていただきました。こうした島外からのツシマヤマネコを守りたいという思いをうまく対馬につなげ、対馬での人とヤマネコが共生する豊かな社会の実現に貢献できればと考えています。また、そうした人と自然が共生する豊かな社会がCOP10をきっかけに日本全国、世界中に広がっていくことを願っています。

対馬野生生物保護センターリンク:http://twcc.cool.ne.jp/

English 日本語 感じる 学ぶ 識る 読む 繋がる すべて見る