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今月の本:2025年 あなたの欲望が地球を滅ぼす-「激安・便利・快適」の大きすぎる代償

今月の本:2025年 あなたの欲望が地球を滅ぼす-「激安・便利・快適」の大きすぎる代償
著者:足立直樹
単行本:ワニブックス【PLUS】新書(2010)

 

知らないということは、”不勉強”ではなくもはや”罪”ではないか…

 

そんな帯に書かれた文言からも窺えるように、この本は筆者が本気で地球の危機に警鐘を鳴らす本だ。高度経済成長時に培われた現代の大量消費社会や、原発に対する危機感等について理論的に論じる一方で、私たちの日常生活の中で当たり前になってしまい、なかなか気づけない“問題点”についてもわかりやすく指摘している。

 

様々な角度から、いかに今の私たち先進国の生活が地球を脅かしているか、ということがわかりやすくまとまっているのが、読み手にとってもうれしい一冊だ。そのうち、いくつかを紹介してみると―。

 

スーパーでのお買い物について。

スーパーでお肉や牛乳を買うとき、無意識に奥のほうに置かれた賞味期限の長いものを手に取っていないだろうか。賢いお買いものの方法でよく聞くやり方だ。

しかし筆者は、この行動に対して疑問を投げかける。買いだめする場合は別として、今日調理する食材が、賞味期限が長い必要があるのだろうかと。賞味期限にこだわった買い方は、一見賢く見えるが、結果としてスーパーで廃棄される食料を増やすことに繋がってしまう。環境に負荷をかけることはもちろんのこと、廃棄分が増えることは最終的には価格の上昇にも関わってくる。

 

100円均一の傘について。

100円均一ショップでよく見かける傘は、年間5,000万本も廃棄されているのだそうだ。

2,000円で購入したお気に入りの傘であれば、電車で置き忘れてしまっても駅に電話をして、取りに行くだろう。でも、100円の傘に愛着を感じる人は少ないだろうし、「雨が止んだらおいていけばよい」と、使い捨てが当たり前になったことを筆者は指摘する。

そう考えると、雨が降ってきたら気軽にコンビニなどで傘を購入しても、置き忘れたり、気がついたら似たような傘と入れ替わっていたりして、同じ傘が1年も家にあったことがないことに気付かされた。

 

壊れたり捨てられてしまった傘は、本来であれば骨組み部分はリサイクル可能だ。しかし、実際にはビニールを剥がす作業にコストが発生するためほとんどが不燃ごみとして扱われている。年間6,000万本の販売数の内約5,000万本、8割近くが廃棄されると考えると、その数字の大きさにも、そして環境負荷の高さにもぞっとする。

 

小学校の時、社会の時間に環境問題について班ごとに調べものをして発表したことがある。各班が「割り箸でどれだけ森林が伐採されているか (日本では1人当たり約200膳もの割り箸が使い捨てられている!)」、「ハンバーガー1個を食べるたびに約5平方メートルの森林が消える計算になる!」などということを知り、衝撃を受けた。

この本を読んで悲しかったのは、あの小学生のときと同じ衝撃を読みながら何度も感じたことだ。小学生の時から今まで、いったいどれだけのものに目をつぶってきたのだろうと…

 

消費社会を見直すためには、国や社会に頼るのではなく、私たち一人一人が自分たちの意識と生活を改善することが必要だ。

 

筆者は本書の終わりにこう締めくくっている。

 

「私たちは過去と他人は変えることはできませんが、未来と自分は変えることができるのです。」

 

 

私たちのライフスタイルを見直すとはどういうことなのか、具体的な内容も含め考えさせられる一冊だ。

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