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読む - 「せいめいのれきし」

今月の本:せいめいのれきし
文・え:バージニア・リー・バートン
やく:いしいももこ
発行:岩波書店(1964年)

 

太陽が生まれたときから、わたしたちが生きている「今」までを、劇仕立てで丁寧に描いた絵本「せいめいのれきし」。

絵本、といっても絵ばかりの絵本ではない。

右ページに描かれた舞台上で、ながいながい「れきし」の劇が行われていき、舞台上に登場するナレーターが語りを差し込む、という変わった仕様になっている。

 

46億年という地球の歴史を365日で例えると、人間が生まれたのは12月31日の夕方だ、という話を、聞いたことがある人も多いと思う。長い長い地球の歴史の中で、私たち人間の先祖が生まれたのは、ほんの短い時間にすぎない。そんな例えだ。

 

しかしそんな人間が生まれるまでの間に、どんな生きものが世界の王さまとして君臨し、どうやって衰退していったのか、くじらの先祖がどんな生きもので、花が初めて開いたのはどの時代なのか、知っている人は少ないかもしれない。この絵本では、そうしたいままでに行われてきた様々な営みが迫力ある絵で描かれている。

さらにこの絵本の素敵なところは、人間が生まれた歴史ののち、著者の素晴らしい日々が丁寧に描写されていること。長いこと忘れられていた土地を買い、畑や果樹園を作り、四季の様々な変化とともに土地を整え、子育てをし…。そうして、とてもいい日だったという昨日を振り返ったあと、著者は、最後に舞台の次の順番を私たちに譲る。

 

「いますぎていく一秒一秒が、はてしない時のくさりの、新しいわです。」

「くまのプーさん」の翻訳者としても有名な、児童文学作家のいしいももこさんの美しい日本語が、私たちの胸をうつ。

 

私たちの生きる今も、太陽の日差しのもとでお話が進み、いつか「せいめいのれきし」の1ページとなる…。脈々と続いてきて、そしてこれからも続いていくそんな壮大な「れきし」と「今」に感動させられた。

読めばきっと、地球や、厳しい環境を生き抜いてきた祖先をもつ様々な生きものたちがいとおしく感じられる。そしてその感覚は、私たちが日々生活していく中で、きっと必要不可欠なものだ。

 

およそ50年も前に描かれた本にもかかわらず、今もなお多くの人に愛され続けている理由がよくわかる。

大人も子どもも楽しみながら読めること、請け合いだ。

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