SATOYAMA BASKET - MISIA × 生物多様性 -


識る -ホッキョクグマ-

【学名】Ursus maritimus
【英名】Polar Bear
【分布】北極圏
【IUCNレッドリスト】絶滅危惧Ⅱ類(VU)     

 

ホッキョクグマの暮らし

現在22,000頭が生息していると推測されているホッキョクグマは、地上最大の肉食動物です。体調は2メートル前後、体重はメスで200kg以上、オスになると、600kgにもなることも。

体の白い毛は実は透明で、光によって白く輝いて見えます。これは、雪の中で狩りをするときにはカモフラージュになるのだとか。毛は皮膚をあたため熱を逃がさないので、北極の厳しい寒さにも耐えられるのです。

また嗅覚は非常に優れていて、氷の下を泳ぐアザラシの臭いがわかるほど。体重500kgのオスが1日に必要なカロリーは、12,000-14,000カロリーとされていますが、これには1週間にアザラシ1頭、食べることが必要です。アザラシなど、彼らが餌としている動物の脂肪は、ホッキョクグマの体に厚い皮下脂肪となり、厳しい寒さを乗り切ることにもつながります。

ホッキョクグマは生涯のほとんどを氷の上で過ごしますが、氷が少ない夏の時期には、獲物を探すため、何時間も氷の間を縫って泳ぐごともあります。

氷の解けだす夏から再び海が凍結する秋までの間、ホッキョクグマにとっては獲物が少ない厳しい時期です。この季節を乗り越えるために、春の間にできるだけ多くの脂肪を貯えておく必要があるのです。

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繁殖と子育て

9月から10月頃、妊娠したホッキョクグマは深く降り積もった雪を掘って巣穴を作り、出産のためにこもります。母グマはたいてい2匹の子グマを出産します。子グマは、翌年の春まで母グマのお乳を飲みながら巣穴の中で成長していきます。

たった600gほどで生まれる子グマは、翌年の春、巣穴から出るころには、10kg前後になっています。その後約2年半、母グマと一緒に過ごします。

 

絶滅が危惧される理由

子育てをする約2年半の間、母グマが新たに妊娠することはないため、一度子どもを産んだメスのホッキョクグマは次に妊娠するまで最低でも3年ほど期間が空くことになります。また、生まれた子グマが繁殖可能になるまでには5~6年は必要です。つまり、もし何らかの原因で個体数が激減するようなことが起きれば、回復には長い期間を要するおそれがあると考えられています。

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北極圏では今、地球温暖化によるとみられる気温上昇の影響を受け、春には氷が解け出す時期が早まり、秋には再凍結するのが遅くなりつつあります。また、氷の厚さも薄くなっています。

このまま地球温暖化が進むと、2050年には北極圏の氷が1900年代の80%に減少するとの予想も出ています。また、もし大気中に放出される二酸化炭素の量が現在の2倍にまで上昇した場合、夏に解ける北極圏の氷の量は全体の約60%にものぼり、約5ヵ月もの間、氷の解けたままの状態が続くとの試算もあります。すでにカナダのハドソン湾周辺では、こうした影響が現れ始めているそうです。

氷のない期間が長くなるということは、ホッキョクグマにとっては狩りのできる期間が短くなるということです。そうなれば、獲物の少ない夏を乗り切るだけの体脂肪、またメスにとっては脂肪分の多い母乳を作るだけの体脂肪を貯えられなくなる危険性があります。

ホッキョクグマを守るためには、氷の海だけでなく、その食料になるアザラシや他の生きものも守ることが重要です。ホッキョクグマを守るということは、北極圏の自然そのものを保全することです。そしてそれは、ひとりひとりが身近な自然を大切にし、地球全体の自然を守っていくことでもあるように思います。

※MDGsブログ「北極を開くべきか、守るべきか」では、温暖化の影響により可能性の広がる北極圏の開発についてご紹介しています。

 


2014年1月31日

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