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識る -オナモミ-

オナモミ

【学名】Xanthium strumarium

【英名】Common cocklebur

【分布】ユーラシア大陸に広く分布し、北アメリカにも帰化

【環境省レッドデータブック】絶滅危惧種Ⅱ類(VU)

 

 

 

みなさんはひっつき虫(くっつき虫)で遊んだことはありますか?

私は小学校の登下校の時にいつも友達とひっつき虫を投げ合って遊んだことがあります。気付かれないように友達の服にくっつけたり、反対に気付かないうちに洋服に大量のひっつき虫がつけられていた。なんてことも。

しかし、ひっつき虫の名称で親しまれたオナモミは、現在、絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されています。

 

オナモミとは

オナモミとは、キク科オナモミ属の一年草。一年草とは種子から発芽して、1年以内に生長して開花、結実して、種子を残して枯死する生きもののこと。オナモミは果実に多数のとげがあるのが特徴。同属のオオオナモミやイガオナモミなども果実が似たような形をしていることから、混同されることも多いのだそうです。

草丈は50~100cmで、その広くて大きな葉の形は、丸っぽい三角形に近く、周囲には不ぞろいなギザギザがあります。夏になると花を咲かせるオナモミは、雌雄異花であり、1つの花に雄しべと雌しべがあのではなく、1つの個体(株)に雌しべだけの雌花と雄しべのみの雄花を咲かるのが特徴です。

見かけの上の果実は最初、緑で熟すると灰褐色となり、棘も堅くなり、その前後に果実は根本からはずれます。この棘は動物の毛にからみついて運んでもらうためと考えられているように、オナモミが私たちの洋服などには強い力でひっついてきます。これがひっつき虫、と呼ばれる由来でもあります。

 

一部の地域で姿を消したオナモミ

オナモミはもともとアジア大陸原産で、日本にはかなり古くに侵入した帰化植物と考えられています。

しかし、そのオナモミは2007年にレッドリストに指定されました。原因として、メキシコ原産の帰化植物で近縁種の「オオオナモミ」が登場したことが挙げられています。オオオナモミはオナモミに比べて草全体が大きい種で、日本では1929年に初めて確認されました。オオオナモミだけでなく、同じく近縁種の「イガオナモミ」の繁殖の増大による影響もあり、現在では、東京都・三重県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・高知県でオナモミは絶滅されたと考えられています。

 

オオオナモミの増加

オオオナモミは、日本生態学会で、「日本の侵略的外来種ワースト100」に選ばれました。オオオナモミが河川敷や牧草地等への侵入した場合、河原に固有な在来種や牧草への競合の可能性、さらには在来種を駆逐してしまう恐れがあります。生態系に影響を与えるだけには問題はとどまりません。さらには、オオオナモミが家畜にとって有毒であるため、繁殖することで、羊毛の品質低下につながることも指摘されています。

そのため、今後、その侵入経路や分布拡大のメカニズムを把握し、効果的な防除方法、分布拡大の抑制策の検討が望まれることが必要であると考えられています。

 

私たちの遊んでいたくっつき虫は….

ひっつき虫で遊んでいたあの頃と違って、今では日常の中に自然を感じることは少なくなりました。この数年の間に、当たり前だった植物は絶滅の危機に瀕しています。

過去にも自然現象などの影響で、大量絶滅は発生してきました。「第6の大量絶滅」といわれる現在、人間活動による影響が主な原因で、地球上の種の絶滅の速度は自然状態の100~1000倍にも達しているといわれています。そのため、わずか1年で絶滅した種の数は1万種という計算もあるほどです。

今ある生物多様性を未来へ繋ぐことは、もはや当たり前のことではありません。しかし、現在の生物多様性を守ることは、豊かな未来へ繋がります。

私たちは生物の恩恵を受けて生きています。この恩恵が続くように、また、この先も子どもたちがオナモミで遊べる環境を願います。

 


文責:大妻女子大学 栗原 亜実

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