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識るーニホンウナギー

ニホンウナギ

 

【学名】Anguilla japonica

【英名】Japanese eel

【分布】北海道南部以南の日本各地、韓国、中国など

【IUNCレッドリスト】絶滅危惧IB類(EN) 

 

「土用の丑はウナギ」。誰もが知る日本の夏の風物詩です。このニホンウナギが絶滅の危機に瀕していることも、最近では多くのメディアで紹介されるようになりました。今回はそんなニホンウナギについてご紹介します。

 

ニホンウナギって?

ニホンウナギは温帯性の回遊魚です。主に小魚や貝を食べて大きくなり、成長すると体長が60センチから100センチほどになります。

ニホンウナギは海で生まれます。稚魚は「レプトケファルス」と呼ばれ、柳の葉っぱのような形をしています。その後、海流に乗って日本にたどり着く頃には、親の形に近い透明な「シラスウナギ」に成長します。そして、川を遡りながら大きくなり、私たちが良く知る姿になって、また海に戻り産卵します。

近年の研究で、産卵場所が日本の南東に位置するマリアナ諸島付近であることが初めて確認されました。そこで生まれた稚魚は、北赤道海流と黒潮に乗って日本にやってきます。

しかし、なぜそれほどの距離を移動するのか、どうやって産卵場所に戻るのかなど、未だに生態の多くが謎に包まれたままです。

日本では昔からウナギは親しまれており、古くは縄文時代からウナギが食べられていました。また、奈良時代の万葉集にも夏バテを防ぐ食材として歌に詠まれています。

 

なぜウナギが減ったのか?

私たちが食べるウナギは、川で捕獲した天然ウナギと、稚魚のシラスウナギを捕獲してエサを与え、成長させる養殖ウナギの2つに分けられます。

しかし、近年、どちらのウナギも急速に数が減っています。

その理由の1つとされているのが乱獲です。食用のため、天然ウナギはもちろん、養殖技術が向上した結果、稚魚のシラスウナギも大量に捕獲されるようになりました。そのため、個体数が減少していったのです。

また、ニホンウナギが遡上する河口や川の環境の変化によって、エサとなる小魚などが減少したことや、生態に謎が多いために保護対策が進まなかったことなども要因だと言われています。

 

ニホンウナギを保護するために

ニホンウナギの保護のため、現在、様々な試みが行われています。

2014年9月には、シラスウナギ漁を行う日本・韓国・中国・台湾の4ヶ国が、捕獲量を減らしてウナギを保護するための共同声明を発表しました。生態を詳しく解明し、有効な保全策を考える研究も進められています。

また、ウナギは守りたいけれどその味は楽しみたい!という日本人に最も期待されるのが、ウナギの完全養殖。養殖で成長したウナギに卵を産ませ、その稚魚を育てて出荷する方法です。すでに一部で成功していて、現在、大量生産のための技術研究が行われています。

消費者への違ったアプローチもあります。ウナギの味に似せた他の食材を提供しようというものです。近畿大学が開発したウナギ味のナマズは、地下水で育てて臭みを消しているそうです。ウナギと触感は多少違うようですが、味は似ているとか。そのほか、ナスのかば焼きや、うなぎに似せて作ったかまぼこなんていう商品もあります。

とはいえ、ニホンウナギの保護に向けた取り組みはまだ始まったばかり。ウナギを好んで食べ続けてきた日本人には、その減少を食い止めるための責任もあるはずです。ウナギが恋しくなる夏の季節。ただ消費するだけでなく、その生態や保護について何ができるのか、1人1人が考えるべきではないでしょうか。

 

■写真提供:海部健三

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