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識る -アホウドリ-

アホウドリ

【学名】Diomedea albatrus

【英名】Short-tailed albatross

【分布】北太平洋に分布し、夏季はベーリング海やアラスカ湾、アリューシャン列島周辺で暮らし、冬季になると繁殖のため日本近海へ南下する。鳥島と尖閣諸島北小島、南小島でのみ繁殖が確認されていたが、2011年と2012年、2014年にミッドウェー環礁でも繁殖が確認され、2015年には小笠原諸島媒島で戦後初となる繁殖が確認されたている。

【環境省レッドデータブック】特別天然記念物、国内希少野生動植物種(種の保存法)、絶滅危惧II類(環境省レッドデータブック改訂版<2002>)

 

2015年3月26日、環境省はアホウドリが小笠原諸島で戦後初めて繁殖したことを確認したと発表しました。

 

アホウドリってどんな鳥?

アホウドリは翼のさしわたし(翼開長)が2メートル以上、体重は4〜5kgという、日本では最大級の海鳥です。

アホウドリは、150年ほど前には北西大平洋の島々で数十万羽ほど生息していたと考えられていますが、現在は伊豆の鳥島と尖閣諸島の南小島と北小島にのみ、2000羽ほど生息していると推定されています。

夏の間は海のうえで生活するアホウドリですが、秋になると繁殖地となる、絶海の孤島に戻り冬に集団で子育てを行います。絶海の孤島は場所が限られる反面、外敵がいないので、安心して子育てすることができるという利点があります。

アホウドリの特徴の一つは、非常に寿命が長いこと。31歳でヒナを育てていた例もあるように、他の鳥に比べて、非常にゆっくりとした時間の流れがあります。繁殖を始める年齢も早くて5歳、平均すると7歳頃から。美しい羽の色になるのにも8年から10年ほどかかります。

1年に1回、卵を1つだけ産み、卵が孵化するまでかかる日数は2か月、ヒナが巣立つまでにかかる時間は4ヶ月ほどかかります。外敵のいない孤島で、長生きをして少ない数の子どもを大切に育てるというアホウドリの人生設計はどこか人間に通じるものがあるように感じます。

 

アホウドリが消える

しかしそんなアホウドリが何故姿を消したのでしょう?

アホウドリの人生設計は、外敵がいないことを前提としています。逆に言えば、外敵が出現することで、人生設計が成立しないことにつながります。

アホウドリにとっての外敵は、人間でした。

アホウドリ、という名前は、人が近づいても動きが遅く、簡単に捕獲し、殺すことができたことに由来しています。

19世紀後半から20世紀前半にかけて人間が羽毛を採取するために捕まえ始め、1933年に鳥島、1936年に聟島列島が禁猟区に指定されるまで乱獲は続けられます。1910年に羽毛貿易が禁止されてからは、日本国内の流通目的のために採取され、630万羽以上が捕殺されたと考えられています。

今回繁殖が報告された小笠原諸島では、1930年代に絶滅しました。アホウドリの捕獲が禁じられたのちも、アホウドリのゆっくりした人生設計が災いになり、数がなかなか戻らないという悪循環となっています。

一度失われた生き物を取り戻すことがどれだけ難しいのか。アホウドリの繁殖のニュースはそんな課題を、改めて私たちに教えてくれます。

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