山村辰美
NPO法人・ツシマヤマネコを守る会
会長


昭和19年(1944年)5月、地元で生まれ現在に至る

昭和35年(1960年)くらいまで、前の川にも生息していたといわれるカワウソが、護岸工事などの影響で生息していた証も残さぬまま絶滅しました。今度は、ツシマヤマネコが絶滅の危機にあります。平成17年(2005年)、環境省の生息調査発表では、推定80~110頭としています。
対馬は、南北82キロ、東西18キロの細長い島で、ツシマヤマネコは昭和40年(1965年)くらいまで殆どの地域に生息していました。現在では、島の半分にあたる南側では殆ど生息してない状況になっております。

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山の一部を保護区として購入 [提供 : ツシマヤマネコを守る会]

自分は、昭和19年生まれですが、子どもの頃と現在とでは環境は大きく様変わりしました。中でも耕地面積が減少し、場所によっては尾根付近まであった段々畑はなくなり、跡地に人工林が増え、ツシマヤマネコの餌となるネズミなどの小動物が減ったのがおおきな原因かと思いますが、その後の開発も影響していると考えられます。
このような環境問題だけを考えていましたが、福岡市動物園で人工増殖をすることになり平成8年12月、自分が捕獲したヤマネコから予想もしなかった病気、ネコエイズに感染していることがわかりました。
生息地である山は、人工林の伐採などで重機を入れ、作業道など作るため今後は益々荒れ放題になり保護が難しくなっています。

カワウソの目撃情報は先輩や後輩からも聞いていましたが、生息していた証拠になる毛皮や写真などは一点もありません。このため、ツシマヤマネコは写真で残してやろうと思い撮影などしていましたが、環境庁(現環境省)の調査などに協力しているうちに、何とかしてやらねばと思うようになったのが保護へのきっかけになりました。

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ソバ畑の種まき [提供 : ツシマヤマネコを守る会]

平成5年(1993年)1月、「ツシマヤマネコを守る会」を10数名で結成し、給餌を主に調査など行っています。給餌は、平成21年(2009年)まで5カ所でしていましたが、予算の都合で現在2カ所で行っています。その内の一カ所では、平成18年(2006年)までに45頭の仔ネコが育ちました。また、会ではツシマヤマネコの餌となる小動物を増やすため、平成15年(2003年)6月から人里離れた山奥の休耕地70アールを借り上げ、ソバなどの耕作をし、実ってもそのまま小動物の餌にと収穫はしていません。また、平成21年にはナショナル・トラスト様など個人からの寄付も頂き、ツシマヤマネコの保護区として4,5ヘクタールの山も取得しておりますが、対馬の85%が民有地で有ることを考えると生息場所である安住の地が必要です。このためにも保護区の面積は今後も増やしていきたいと思っておりますので皆様のご協力を宜しくお願いします。


NPO法人・ツシマヤマネコを守る会:http://www.sky.tcctv.ne.jp/torayama/