Red Zoo

アオサンゴ

【学名】Heliopora coerulea
【英名】Blue coral
【分布】インド・西太平洋の亜熱帯・熱帯域、日本では沖縄以南に分布。
【環境省レッドデータブック】絶滅危惧II類(VU)

 

自分の家や海外の観光地など、世界中のいろいろな場所を通りに立った目の高さで360 度見渡すことができるウェブサービス「グーグルストリートビュー」で、美しいサンゴ礁地帯として有名なオーストラリアのグレートバリアリーフでの水中バーチャル体験が可能になること、ご存じですか?このウェブサービスでは、山頂やアマゾンの熱帯雨林へのバーチャル旅行を実現、注目を集めていましたが、とうとう仮想ダイビングまでもが楽しめるようになるそうです。すごい時代ですね!

 

しかしそのサンゴ礁は、現在、世界中で絶滅の危機に晒されています。世界の造礁サンゴ(サンゴ礁を作るサンゴ)の種のおよそ3分の1が国際自然保護連合(IUCN)によって作成されるレッドリストの中で、絶滅危惧種のカテゴリーに類されています。今回ご紹介するアオサンゴもそのひとつ。

アオサンゴ、というと某アイドルの歌が頭をよぎりますが、この板状や枝状のアオサンゴ、実は見た目は褐色だったりします。ポリプと呼ばれる袋状のかたい骨格の内部が青いため、アオサンゴと命名されました。石垣島・白保の大群落は世界最大規模を誇り、ひとつの群体の大きさが10メートルを超える巨大なものもあるそうです。

 

サンゴ礁が発達するにはいくつかの条件が必要です。中でも、サンゴはサンゴの中に住む渇虫藻という植物プランクトンから養分をもらって生きているため、この渇虫藻が活発に活動を行える状態にあることが、特に重要です。活発な活動を行うには、以下の4つの条件を満たさなければなりません。

  • 水温が18.5度以上であること:水温が低いと渇虫藻の動きが鈍くなりサンゴが形成されにくくなる。
  • 水温が30度以下であること:水温が30℃を超えると、居心地の悪くなった渇虫藻がサンゴから出ていってしまい栄養不足になってしまう。
  • 水深が40mより浅いこと:渇虫藻が光合成するための日光を取り入れられる水深が必要。
  • 水の透明度が高いこと:濁った水は光を通しにくいので、渇虫藻の光合成が阻害されてしまう。

 

近年では、乱開発、破壊的な漁業、陸地から流れ出る土壌の堆積、汚染など環境の悪化により上記のすべてがサンゴの死滅に影響を及ぼしていますが、特に深刻なのが、水温の上昇による「白化現象」です。

白化現象は、栄養不足によって発生します。サンゴは、褐虫藻の光合成に頼って栄養を補給していますが、これが失われるとサンゴは白化し、長期間続くとサンゴは死滅してしまいます。近年の温暖化や異常気象により水温が30度を超える日が続き、この白化現象は広がっています。2009年時点の日本自然保護協会は、通常水温の高い水深3~5メートルで見つかることが多い白化現象が、水深10~14メートルでも確認されています。

世界規模でもここ20年ほどでサンゴの白化現象は、加速度的に生じています。ノースカロライナ大学が太平洋、インド洋、オーストラリアのグレートバリアリーフなど、世界のサンゴ礁の75%が含まれる海域を調査したところ、熱帯雨林以上のスピードで白化が進んでいることがわかりました。

 

白いサンゴが広がる海は、一見とてもきれいに見えます。私も白化現象のことを知るまでは、海岸で拾える白いサンゴを集めては、青い海とのコントラストにうっとりしたほど。

しかし死の直前にあるとわかってみる白化したサンゴ礁には、背筋が寒くなる壮絶さがあります。

 

わたしたちが暮らす日本では、九州から沖縄、そして八重山と、台湾にまで連なる南西諸島で、造礁サンゴが生育する世界の北限であり、その世界有数の多様なサンゴ礁に魅せられて、毎年たくさんの観光客が訪れています。

しかしその背景にある、死に絶えつつあるサンゴについて、今一度、考えてみませんか?

mudefではサンゴの養殖事業をサポートすべく、現在準備をしています(2012年4月現在)。乞ご期待!