【学名】Panthera leo
【英名】Lion
【分布】サハラ南部から南アフリカ、インドの一部
【環境省レッドデータブック】危急種(V)
動物園に行けば、たいてい目にすることができるライオン。日本では知らない人はほとんどいないくらい有名である。そのライオンの絶滅が危ぶまれていることを、皆さんはご存知だろうか?
ライオンとは?
ライオンはトラと同じネコ科の肉食動物である。オスであれば体重250キログラムを超えることもあり、ネコ科ではトラに次いで2番目に大きな種である。他のネコ科の動物にはあまり見られない社会性を持っており、プライドと呼ばれる群れを形成する。「百獣の王」という呼び名にもあるように、一般的に強い動物であると思われていることが多い。
百獣の王も絶滅危惧種に
陸上に暮らす動物の頂点に立つライオンでさえも、国際自然保護連合(IUCN)が定めるレッドリストの危急種に定められている。危急種とは「野生絶滅の高い危険性」がある種のこと。そして、その存在を危ぶめている原因として挙がってしまうのが、我々人間だ。
アフリカではこの20年間で頭数が30~50%減少している。今では保護区や国立公園に指定された地以外では生息が難しくなっている。その原因は、娯楽目的で野生のライオンを狩る密猟者の標的になったことや、開発が進んだことによる生息地の減少、獲物の不足などである。他にも、インドなどの人間が住むところの近くにいるライオンは、家畜を襲う害獣としての駆除の対象となったりもしている。どれも対人間とのことであり、それらが原因でライオンの生息地が奪われ、今後20年以内に絶滅の可能性がでてきているのだ。
トラの代わりに狙われる
最近のニュースで話題になったのが、中国の伝統漢方薬「虎骨酒」の材料である、トラの骨の代替としてライオンが目をつけられたという話だ。絶滅危惧種のトラは国際法で取引が禁じられたため、同じネコ科のライオンが注目された。
現在南アフリカでは、世界の動物園へ供給するライオンを育てている商業用の繁殖施設で、合法的に年間約500頭のライオンの狩猟が行われている。訪れるハンターたちは日本円で約160万円を支払い、暖炉の上に飾るような剥製や毛皮といった狩猟の記念品だけを持ち帰り、残りの部分は犬に与えていた。だがライオンの骨が人気を集め、2008年から取引されるようになってから、骨は1頭あたり日本円で約78万円にもなるようになったのだ。これにより、野生のライオンまでもが密猟される可能性が高くなることや、飼育や繁殖活動の状況が悪化することが懸念されている。
アフリカの一部の地域ではこのような現状を受け、さまざまな政策が行われている。ケニアのマサイ族の男性はかつて、18歳になると通過儀礼としてライオンを狩っていたが、今では政府によって禁止されている。また、ケニアのアンボセリ国立公園では肉食動物と草食動物の均衡を回復させ、ライオンやなどによる家畜の襲撃を減らすために、「餌」になるシマウマの大移動計画をスタートさせた。
私はライオンという強いイメージのある動物でさえ、絶滅の危機に瀕してしまっていることに驚いた。人間の進化や発展と反比例して動植物たちが減っていく今の現状を、私たちは重く受けとめなくてはならない。
文責: 大妻女子大学3年 矢部遥佳