【学名】Panthera unica
【英名】Snow Lopard
【分布】中央アジア、南アジア、東アジア
【環境省レッドデータブック】絶滅危惧II類(EN)
今回も前回に引き続き、主に毛皮をとることを目的に狙われ、絶滅危惧種となった動物を紹介したいと思います。
ユキヒョウとは
標高600メートルから6000メートルにある針葉樹林や岩場などに生息する、ネコ目ネコ科ユキヒョウ属のユキヒョウ。体長は100~130センチ、体重は25~75キロです。主に、鳥類やネズミ、小動物などの食肉類を食べますが、時には自分の体よりも大きな、牛などの家畜を食べることもあります。
ユキヒョウはユキヒョウ属という属があるように、ヒョウとは異なる進化をしました。60万年前にアジアで氷河期が始まると、ヒョウは寒さを避け南へ逃げました。しかし、ヒョウとは異なり、南下をせずに氷河の大地にとどまり、寒い気候に適応し進化したのがユキヒョウです。
ユキヒョウの特徴は太くて長い尾です。尾長は80~100センチと、体の半分以上の長さがあります。この尾は斜面や雪上でバランスを取るために長くなったと考えられています。また、雪の上で滑り止めの役割を果たすために足の裏には長い毛が生えています。
ユキヒョウ
ユキヒョウは群れで行動しないことから、現地の人もなかなか見ることがなく、貴重な動物と言われてきました。貴重な存在であることから、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタンでは紙幣や紋章にも使われてきました。
その地域のシンボルとして貴重な存在として崇められる一方で、その美しい白に黒の斑点模様の毛皮は、ハンターたちに狙われ、1960年代には密猟も相次ぎました。また、ある時代では、家畜を食べることのあるユキヒョウは害獣として乱獲されたこともありました。さらには、トラなどと同様に、その骨は漢方薬としても狙われてもいました。毛皮目的をはじめとする、乱獲で多くのユキヒョウが犠牲になってきました。
現在
現在は絶滅危惧種にも指定され、現地の人の理解もあって、害獣として扱われることもなくなりました。一時は1000頭ほどしか居なかったユキヒョウも、現在は5000頭まで増えてきました。
しかし、密猟はいまだに発生します。そのため、ユキヒョウの住む地域では、密猟防止のパトロールが行われています。
ユキヒョウだけでなく、多くの動物たちが毛皮目的に乱獲されてきました。その毛皮は豊かさの象徴とされ、また、ユキヒョウのように希少価値が高くなることで、個体数が減ってもハンターたちに狙われている動物は、何種類もいます。
イヌイットのように、極寒の地に住む人間にとっては、動物の毛皮の暖かさは生きていくために必要なものです。けれど、豊かさやファッションの一部として人間の欲のための毛皮は必要なことでしょうか。動物たちが増えるよりも早く人間が乱獲してしまえばユキヒョウだけでなくこれから、もっと多くの動物が犠牲になります。
私たち人間が犠牲になっていった動物たちの過去から学び、失う前に気付き行動することが今後、再び野生動物たちを犠牲にすることを阻止する大切なことなのだと思います。